高温のLiPb下でディスク状の試験片を回転させて、実際の運用温度及び流速などの広範囲なパラメータ領域で実験し、腐食挙動を評価している。




核融合炉は燃料が無尽蔵で高レベル放射性廃棄物を出さない次世代エネルギーとして研究がすすめられている。小西研究室では、バイオマスガス化のプロセスによる発電用でなく、燃料製造用の核融合炉システムを提唱している。高いエネルギー変換効率を持つこの“バイオマス・ハイブリッド”システムを確立し、核融合炉の早期実現を達成するため、水素製造技術や、炉設計、環境への負荷に至るまで幅の広い総合的な研究を行っている。

中性子放射による研究や元素分析などを簡単に行えるように、中性子ビームを容易に発生させる装置の研究開発が求められている。

日本の地勢・文化的背景を反映したモデルを構築し、人体にどのような影響をもたらすかを評価している。モデルでは環境中のトリチウムについて、化学形・取り込まれた状態を挙動・影響の大きさから同様の特徴を持つ区画(コンパートメント)に分類し、それぞれの区画の間におけるトリチウム移行を求めている。

液体金属であるLiPbを用いて冷却及びトリチウム増殖を行うダイバータを想定し、高熱負荷によるアブレーション現象などを研究するために、水素イオンビームによる高熱粒子負荷研究を行っている。

熱媒体にLiPbを用いたブランケットでは高温の熱エネルギーの取出しが期待されているが、構造材である低放射化フェライト鋼の耐熱温度は550℃以下であり、構造材とLiPbとの断熱が課題となっている。

高温液体金属LiPbブランケットが成立するためには、低放射化フェライト鋼、SiCf/SiC複合材などのブランケット材料との適合性が不可欠である。

ブランケット内で生成された、燃料であるトリチウムの漏洩防止・回収にはブランケット材料の溶解度・拡散係数データが求められている。

トリチウムと同じ水素同位体である重水素を用いて、ブランケット材料中への拡散・溶解挙動解析を行っている。ブランケット材料としてはLiPbと高温強度特性をもつSiCf/SiC複合材を想定している。粒子内の拡散挙動や溶解挙動を直接評価するため、板状の単体SiC材料、SiCf/SiC複合材料に限らず、SiC材料を構成する粉末や繊維を用いても、実験を行っている。

低放射化フェライト鋼とLiPbとの間にセラミックス材料であるSiCf/SiC-He冷却パネルを挿入した新しいモデルを提案し、構造材を耐熱温度以下に保ちつつ900℃以上のLiPb取出しの可能な設計を行い、その実現可能性を評価している。

核融合プラントの定常運転時に放出されるトリチウムの環境中における挙動を予測し、影響を最小化する必要がある。

円筒放電管型核融合中性子源を用いて、等方的に発生する中性子のビーム化を行っている。電極表面反応を効率的に利用する放電装置を設計し3次元中性子輸送計算コードMCNPを用いてシミュレーションによる評価を行いビーム形状とエネルギーの最適化を行っている。

核融合炉のダイバータは、高密度の粒子負荷を受けるため、効果的除熱をしなければならない。また、除熱した熱を発電等に利用することが、エネルギーの有効利用の観点から求められている。